私は2003年に当社を設立以来、3,000名に近いカットデザイナー志願者を面接し、“社会のひずみ”に影響を受けた方たちを見てきました。
リストラ、早期退職、仕事からくるストレス、派遣切り、フリーター、引きこもり、夢の挫折、借金、造園会社の事業継承、親の介護などの問題を抱え、自分の力だけではどうすることもできない現実に疲れ切った顔もたくさんありました。
しかし私は、どんな状況にあろうともチャレンジ精神を忘れず前向きに生きたい、カットデザイナーで人生をやり直したいという強い想い を感じられた方とだけ、業務委託契約を結んできました。現在活躍しているカットデザイナーは、一度は途切れかけた地域社会とのつながりや仕事のやりがい、誇りある生き方を諦めない心で取り戻した精鋭たちばかりです。
これまで植木屋は、何年も修行して就く職業。職人気質な仕事だと考えられていました。
しかし当社のカットデザイナーは約1カ月半~2カ月の研修期間を終えたら現場に出ます
し、お客様のご意向を無視してまで自分の意思をつらぬくような
強い職人気質は求めていません。
お客様にご満足いただくために技術力や植物の知識はもちろん必要ですが、当社のカットデザイナーは、見積りからカット作業まですべてを自分で行うので、木を切るだけが仕事ではありません。訪問時の挨拶やマナーもしっかりと身につけ、お客様との対話を大切にしています。こうした
「お客様に喜んでもらいたい」という姿勢は、飲食や接客など、他のサービス業と何も変わらない
と私は思います。
そもそもカットデザイナーという新しいスタイル お客様の大切なお庭の手入れを行うというサービスを思いついたきっかけも、お客様に喜んでいただくためでした。
会社を設立してしばらく経った頃、ネットで「植木屋についての悩み」について書かれた記事を見つけました。そこには「初対面の植木屋さんに自宅のトイレを貸すのは嫌だ」、「職人さんがタバコを吸いながら作業していた」、「1本だと頼みにくい」など、お客様の悩みや不満が多数寄せられており、本当に驚きました。
これだけ悩みや不満があるということは、お客様が満足できていない証拠だと捉え、「1本ずつ明朗会計」「納得いくまで何度でも切り直し」「お茶・お食事は無用」「トイレはお借りしない」「現場でタバコは吸わない」という『5つの約束』を考えました。
おかげさまでお問い合わせ件数は順調に増え、 年間作業実績は3万7千件以上。リピーターも多くいらっしゃいます。 私がチャレンジした“植木屋革命”を受け入れていただけたという実感があります。
しかし一番実感しているのは、お客様から感謝され、「自分も親方として現場で信頼 されているのだ」と感じながら働くことができるようになったカットデザイナーたちの顔の変化です。仕事をこなす充足感で、 顔つきまで変わったカットデザイナーもいます。充実した毎日を過ごせるようになった仲間たちの笑顔は、見ている私まで笑顔にさせるエネルギーに溢れています。